川崎フロンターレ 2018シーズン経営状況開示

その他のフロンターレ
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2018シーズン経営状況を分析する前に

経営状況発表される

2019年5月24日にJリーグは各チームの経営情報を開示しました。一部の3月決算のチームは除外されていますが、フロンターレの決算月は1月ですので今回の開示に含まれています。今回開示された経営情報は、2019年1月期、つまり、2018年2月1日〜2019年1月31日までの期間、2連覇を達成した2018シーズンが対象になっています。

2018シーズンとは

フロンターレの2018シーズンは、J1リーグ初優勝を果たした2017シーズンに続いて2連覇を達成したシーズンになります。経営情報としては2017シーズンのJ1優勝の結果として受け取った理念強化配分金が反映される期間になります。

2017シーズンと2018シーズンの成績比較

2018シーズンは2連覇を達成しいよいよ王者の風格を身につけてきたようにも思いますが、それぞれのタイトルを見ると、ACLでグループリーグを勝ち上がったり、ルヴァン杯で決勝進出したりした2017シーズンの方が好成績だったと言えます。

成績の比較をしてみます。

 20172018
Xerox Super Cup出場なし準優勝
J1リーグ優勝優勝
ACLベスト8グループリーグ
敗退
ルヴァン杯準優勝ベスト8
天皇杯ベスト8ベスト8

観客動員数や、賞金などに影響が出ていると思われます。

2018シーズンの経営情報を分析する

経営情報開示

5月26日にJリーグが開示したクラブ経営情報は以下のURLから入手できます。

2018年度 クラブ経営情報開示(先行発表) メディア説明会 発言録:Jリーグ.jp
2018年度 クラブ経営情報開示(先行発表) メディア説明会 発言録2019年5月24日〔司会より〕決算期が変更になった...

このブログで、2018年に過去の経営情報について考察していますので、参考までに載せておきます。

川崎フロンターレ 2連覇達成 その3 強いチームを維持するには収入をふやせ
サッカー2018シーズンのJ1リーグで川崎フロンターレが優勝し2連覇を達成しました。来シーズンに3連覇を達成し、その後も強豪チームであり続けるためには収入を増やしていくことが必要と考えフロンターレの収入構造を見ながら考えを巡らしました。

これでいいのだろうか?

以前に経営情報を分析したブログでは、メインスタンドの改修が完成して以降順調に右上がりで成長していますが入場料の頭打ち感が出てきていると書きました。

2018年1月期経営情報と2019年1月期経営情報を比較してみます。

(単位は百万円)18/1月期19/1月期増加率
営業収益5,1236,07418.6%
 広告料収入1,8541,478-20.3%
 入場料収入1,038975-6.1%
 Jリーグ配分金4951,416186.1%
 アカデミー関連収入1831967.1%
 物販収入56386954.4%
 その他収入9901,14015.2%
営業費用4,7305,59918.4%
 チーム人件費2,3392,61411.8%
 試合関連経費229222-3.1%
 トップチーム運営経費2983269.4%
 アカデミー運営経費606711.7%
 女子チーム運営経費00 
 物販関連費42057637.1%
販売費および一般管理費1,3841,79429.6%
営業利益39347520.9%
 営業外収益32-33.3%
 営業外費用21-50.0%
経常利益39447620.8%
 特別利益00 
 特別損失00 
税引き前当期利益39447620.8%
法人税および住民税等13315415.8%
当期純利益26132223.4%

2019年1月期の営業収入の総額は2018年1月期より18.6%増加している一方で、営業費用は2018年1月期からの増加を18.4%に留め、営業利益は475百万円を計上しています。利益を出しながら会社が大きくなっているようで、順調に会社が成長しているように見えます。

しかし、営業収益の内訳を見ると大きな問題が潜んでいるのです。

収入について

スポンサー収入(1,478百万円)

一番の問題と思われるのが、このスポンサー収入です。2018年1月期までは広告収入と呼ばれていたものが、2019年1月期からスポンサー収入と名前が変わりました。内容は変わっていないとJリーグは説明しています。

驚いたことにこのスポンサー収入が2018年1月期比較で20%以上の大幅減少になっています。これは、現在確認できる2014年1月期(メインスタンド改修中)以降で最低の収入額です。

2連覇して広告体としての価値が上がると考えてしまいますが、全く逆の値になっています。その原因は明確には分かりませんが、2019年1月期にNiftyがスポンサーから離脱したこともひとつの要因ではないかと想像します。富士通グループであったNiftyが家電量販店のノジマに買収されたのが2017年1月です。2017シーズンは背番号下に名前を入れてスポンサー契約を続けてくれましたが、2018シーズンからは、その広告もなくなっています。これが大きかったのかもしれません。

Jリーグが開示した経営情報にはJ1全18チームのうち3月決算の3チームが含まれていないので今のところ全15チームですが、スポンサー収入についてフロンターレは15チーム中12位になっています。下には、札幌、仙台、長崎がいるだけです。

東京と横浜に挟まれて、川崎にゆかりのある大手企業が少ないこともあるでしょうが、富士通グループに依存しすぎていたのではないかと思います。サッカーチーム運営会社としては、富士通の名前を外して地元密着を打ち出してきましたが、フロンターレの試合に行けば、スポンサー看板で目立つのは富士通グループばかりです。一刻も早く富士通グループ以外の大手スポンサーを見つける必要があります。

理念強化配分金など他の項目での収入が増えることが分かっていた2019年1月期は敢えてスポンサー収入を減らしたのではないかとの穿った見方をしたくなります。バックスタンド等改修時には増額を約束しているなんてことなら良いのですが、そんな都合の良い話はありませんよね。

入場料収入(975百万円)

2018シーズンにはチケット完売の試合が増え、2019シーズンはシーズンチケットすら取りにくくなっていることから、2020年1月期では入場料収入が減少するだろうと予想していました。それが1年前倒しで減少に転じてしまいました。

J1リーグでの観客数は以下の通りです。J1リーグでの観客数は増加していますが、ACLでグループリーグで敗退したことから2019年1月期は2018年1月期より2試合少ないので、トータルで見ると観客数は減少していると思います。

 18/1月期19/1月期
J1リーグ観客数375,910394,709

入場料収入については2020年1月度には更に減少すると予想しています。割引率の高いシーズンチケット利用者が増えること、金曜日開催の試合が多いこと、2019シーズンで既にACLでグループリーグで敗退していることがあります。あとはルヴァン杯で勝ち進み、等々力陸上競技場開催を増やすしかありません。

2020年の東京オリンピックが終わった後にバックスタンド等の改修計画があります。メインスタンド改修最終年の入場料収入は571百万円でした。改修しながら等々力陸上競技場で試合を開催するとなると、これ以上に減少するのではないでしょうか。

Jリーグ配分金(1,416百万円)

2018年1月期には、495百万円だったものが、約1,000百万円増加して1,416百万円になりました。J1優勝の強化理念配分金の初年度分1,000百万円がここに計上されていると思います。J1リーグで戦うチームには、350百万円の配分金が支給されますので、その他も合わせて1,416百万円、と数字が合いそうです。

2連覇していますので、2020年1月期にも多額の理念強化配分金が入ることになります。J1リーグチームとして350百万円、2017シーズン優勝の2年目の理念強化配分金が400百万円、2018シーズン優勝の1年目の理念強化配分金が1,000百万円で、合計1,750百万円以上になるのは間違いありません。

この収入を維持するためには勝ち続けるしかありません。

物販収入(869百万円)

2017年1月期よりその他収入は物販収入とその他収入に分けられましたので、それ以前にさかのぼって比較することは困難です。

2連覇した為に優勝記念グッズの売り上げが良かったのでしょうか。試合毎に工夫している各種グッズやガチャなど、サポーターの財布を緩める作戦が奏功しているようです。大幅に増加しています。

その他収入(1140百万円)

Jリーグによると、その他収入には賞金、移籍金、施設運営収入などが入ると説明されています。その他収入は2018年1月期に比較して15.1%の増加になっています。

2019年1月期にはJ1リーグ優勝していますが、その他の大会は2018年1月期より悪い成績なので、賞金の合計額は減少しているはずです。では、何故大幅に増加しているのでしょう。

思い浮かぶのは移籍金でしょうか、シーズン途中で移籍した大久保選手、エドゥアルドネット選手は移籍金が発生していると思われます。2019年1月に発表された板倉選手の移籍金も含まれているのかもしれません。戦力的にはダウンになりましたが、経営上は潤う結果になりました。

利益余剰金

ここまでは損益計算書を見てきましたが、貸借対照表にも目を通します。フロンターレは黒字経営を続けてきましたので、毎年利益が出ている状態です。5年前の2014年1月期の利益余剰金は、255百万円に過ぎなかったものが、2019年1月期には、1,160百万円に増加しています。着実に利益が貯まっています。

バックスタンド等改修に備えて、今はしっかりと利益を貯め込んでおく時と思います。ざっと10億円以上も利益余剰金があるので、数年間は赤字運営でもなんとかしのげるかもしれません。

まとめ

収入のバランスが悪い

今回開示された経営情報を見てきましたが、まず目に付いたのは収入が賞金やJリーグからの配分金に依存し過ぎていると言うことです。そのうえスポンサー収入が減少していることには大きな危機感を持たなければいけません。

このままでは、勝てなくなったときに一気に経営状態が悪くなり、人件費を削減するために有望な選手を放出しなくてはならなくなる可能性があります。

バックスタンド等改修をどう乗り越えるか

正式な情報としては確認できていませんが、東京オリンピック以降に等々力陸上競技場のバックスタンド等の改修が計画されているようでうす。

メインスタンド改修に2シーズンかかったこともあり、同様に2シーズンもバックスタンドとゴール裏に観客を入れないとなると、メインスタンド改修時の入場料減収程度ではすまない可能性が高いです。

他の会場でホームゲームを開催するとか、バックスタンドとゴール裏は時期をずらして改修するとか、仮の観客スタンドを陸上トラック上に作るとか、いろんな案は出てくるでしょうが、真剣に考えないと経営的に大きなインパクトが出てきます。

もらえるものはもらっておこう

すでにACLは敗退してしまいましたが、今できることはもらえるものはすべてもらい、改修に備えるぐらいでしょうか。とにかくため込んで非常時に備えておく必要があります。

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