AFCアジアカップ 日本代表 サウジアラビア戦

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試合情報

2019 AFCアジアカップ 決勝トーナメント1回戦

2019年1月21日(現地時間15:00キックオフ)
日本 1 – 0 サウジアラビア

得点者:富安(20分)

本気の試合がようやく始まる

サッカーナショナルチームフル代表の公式戦は基本的には2つの大会しかありません。ワールドカップと各大陸大会、それに繋がる予選です。それ以外はほとんどがフレンドリーマッチで、日本の場合は自国で時差ぼけの相手と戦うことがほとんどです。

フル代表に選手が揃う公式戦とそれ以外の試合には本気度(特に日本が対戦する相手国の選手の本気度)に大きな違いがあると思います。森保監督が監督に就任してから順調に結果をだしてきましたが、それらはすべてフレンドリーマッチでした。そこでの結果をもって日本代表が強くなったとは評価できません。森保監督が就任してから初めてのフル代表の公式戦がこのAFCアジアカップです。ようやく日本の力を測る貴重な機会がやってきました。

アジア諸国との戦いで苦戦すると「これがアジアの戦いです」と言い出す人がいますが、そうではありません。「これが本気の試合です」と言うのが正しいのです。現在アジアで日本のライバルになるのはイラン、オーストラリア、韓国でしょう。この国々と本気の試合をすることが重要なのです。

ワールドカップで強豪国がグループリーグにベストのコンディションを合わせないように、アジア大会では日本がその立場になります。シーズン中の欧州チームから合流した選手にはチーム練習の時間はほとんどありません。グループリーグを戦っていく中でコンディションを挙げていくことが要求されます。

森保監督の監督就任時の記者会見から

まず、森保監督がどのようなチームを目指しているのか押さえておきたいと思います。森保監督の就任会見時の質疑応答からの抜粋です。

(質問)日本代表監督として一番大事にしたい部分は?

「ロシアW杯に西野ジャパンのコーチとして帯同して一番強く感じたのは、日本人のメンタリティー、日本人の身体能力の良さを生かしてやっていくことが大切だなということ。海外から学ぶことはまだまだたくさんあるが、日本人の身体的な能力、メンタリティーを生かして準備することが大事だと思っている。一体感のあるチームづくり、常に攻守ともに連係、連動して戦う。そういうチームづくりは絶対にやっていきたい」

(質問)戦術として新たに加えたい森保イズムはあるか。

「速攻もできれば遅攻もできる。守備ではハイプレッシャーをかけることもできれば、自陣でしっかり守備を固めて相手の思ったような攻撃をさせないということもしていきたい。つまり、いろんな対応力を持って戦うということ。それは西野監督も言われていたし、臨機応変に、状況に応じて勝つためにどうしたらいいか、流れをつかむためにどうしたらいいかということをチームとしてできるように、選手が判断して選択できる。そういうサッカーをしていきたい。対応力と臨機応変。西野監督も言われていたが、そこはもっともっと磨いていかなければいけないと思う。新たにということではないが、そこはやっていきたい。今回のW杯で優勝したフランスもまさにそういう戦いをしていたと思う。彼らは豊富なタレントがいて、攻撃という部分で自分たちのやりたいことを表現できるようなチームだったと思うが、準決勝では、日本代表が負けたベルギーに対して1点を先制したあと、しっかり守備を固めながら、しかし守備だけで終わらず攻撃に出ていた。そういう勝つために必要な部分は世界のサッカーから学んでいきたいと思っている」

キーポイントをまとめます。

  • 攻守に連動
  • 速攻もできれば遅攻もできる
  • 臨機応変に状況に応じて勝つために判断する

こんなチームを作りたいと考えていることを理解しながら試合を観戦しました。

守備の練習

日本のボール支配率23.7%がすべてを語っています。日本代表がアジア地域で普通に戦っていればこれだけ差が開くことはありません。サウジアラビアとの力の差がそこまであるとは思えませんので、意図的(戦術的に)にそうしたのか、あるいは腰が引けてそうなったのかのどちらかだと思います。

遠藤選手が試合後に話しています。

「立ち上がりは自分たちもプレッシャーをかけて、いい位置でボールを奪って、『自分たちが主導権を握れるような戦いをしたい』というのが理想だったんですけど、ちょっとハマらなかったというか、(サウジアラビアの)アンカーが落ちたりして、相手のポジショニングも上手かったり、シャドーもサイドバックの脇に落ちてプレッシャーに行きにくいポジションを取っていた。なので、ブロックを敷く展開になりましたね」

当初はもっと主導権を握るつもりでいたことがわかります。

そういう考えでいたにも係わらず、これだけボール支配率に差を付けられたのは、過剰に力の差を感じすぎてしまい腰が引けたということだと思います。特に得点してからは守備に人をかけて相手を跳ね返しボールを簡単に相手陣に蹴り込んでいました。しっかり守備だけをしていれば失点はしないですむとの打算が働いたからだと思います。

攻撃は放棄したということです

この大会を通して攻撃がうまくいっているとは思いませんし、チームができてそんなに時間も経っていないので、連携がうまくいかないのも理解できます。しかしそもそも攻撃でチャレンジすることを止めてしまえば、攻撃の連携などできるわけありません。公式戦のなかで連携を高めていく機会を捨ててまで試合に勝つことを選んだのだと思います。

試合を戦っている選手はその試合を勝つことに集中しているのでそれで良いと思いますし、選手達を攻めるつもりは全くありません。監督をはじめとしてコーチ陣の問題です。ワールドカップが終わり新しいチームを作り始め、その最終的な目標が次のワールドカップであるならば、本気の公式戦で攻撃を放棄した状態を修正しなかったことは正当化されません。なぜもっとチャレンジさせなかったのか疑問です。

ワールドカップのポーランド戦で西野監督が指示した最後の10分のボール回し。自分たちの運命を他で試合をしている他者にゆだねる戦術は全く合理性に欠けます。あれ以来、勝つためには何でも良い風潮が出てきたのではないでしょうか。西野監督にひいき目にみて、サッカー界の最終目的であるワールドカップで決勝トーナメントを目前にびびったのは理解するとしても、チームを預かって半年も経過していない時期のAFCアジアカップで、森保監督がびびっているのであれば、この先長く任せてよいのか不安になります。

守備と攻撃はわけられないものである

サッカーの試合では守備と攻撃を分けることはできません。後ろに人を多くおいて守備を厚くすれば前線の攻撃は薄くなりますし、その逆もあります。

この試合で日本は新しい勝ち方を身につけた、とか、守備が安定していたとか評価するものが見受けられますが、力を使って攻撃しなくて良いのですから守備が安定するのはあたりまえです。

森保監督就任後のフル代表は、最前線の大迫選手の回りを若い中島選手、南野選手、堂安選手がいきいきと動き回って得点を量産してきました。この大会に中島選手はいませんが、南野選手や堂安選手が本気の試合でどのくらい通用するのか試せる絶好のチャンスです。もっとチャレンジをさせてみて、通用しなければ別のアプローチを取ることも考えなければなりません。その機会を無駄にしているとしか思えません。

現在のフル代表の攻撃は良くも悪くも個人プレーが中心です。サウジアラビア戦も結局は富安選手の個の力が相手ディフェンダーを上回ってヘディングシュートを決めたのです。

私は日本の選手が個の力で一流国のディフェンダーを突破できるとは思っていません。組織で崩すしかないと思っています。当の森保監督が就任時記者会見で言っていました、攻守に連動しなければいけません、と。

次の試合も引きこもるのか

ベトナムはグループBで無敗で首位のヨルダンに延長戦後のPKで勝利しました。試合ではボール支配率59%と支配率は上回っていました。決して引いて守るチームではなさそうです。このベトナム相手の試合でも日本は引きこもり戦術をとるのでしょうか。すっきりと攻撃力で凌駕してベスト4に駒を進めてもらいたいものです。

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